ロチェスター編:感動の1日

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はじめに

NIP14の発表も無事終わったのもつかの間、会議開催機関の途中ではありますが、アメリカのロチェスターに移動しました。目的は、Chester F. Carlson Center for Imaging Science Industrial Associate Meetingに参加するためです。ご存じの通り、Chester F. Carlsonとは電子写真技術を発明するとともにXerox社の設立した人であります。そのXeroxの本社がニューヨーク州ロチェスターというところにあり、地元のロチェスター工科大学(RIT:Rochester Institute of Technology)には、Chester F. Carlson Center for Imaging Scienceという研究施設があります。ロチェスターにはイーストマンコダック、ボシュロムも本社を構えており、それらの企業の支援もあり、RITの画像工学科は非常に高い研究成果を上げているようです。

Chester F. Carlson Center for Imaging Science

電子写真が Carlson によって発明されたのは今からちょうど60年前の1938年10月22日であり、今年で60年になるそうです。それを記念して毎年10/22には記念のConferenceが開催されているのですが、今回は60周年の記念ということもあり、講演の半分はCarlsonと電子写真(Xerography)の60年の歴史をたどるものになるそうです。さらに、Chester F. Carlson Center for Imaging Science内に、Chester F. Carlson Learning Centerという施設が作られ、それの開所式が行われるそうです。


10/22(木):電子写真発明から60年目の日

Chester F. Carlson Center for Imaging Scienceには日本の企業から何人かの派遣研究員が来ていました。

左から富士通の清水さん、旭光学の関谷さん、松下技研の本村さん、富士フィルムの原さん、ただし、原さんはRITの研究員ではなく富士フィルムのシリコンバレー研究所の研究員で今回のミーティングのためにRITに来たということです。RITの留学期間は1〜2年だそうです。世の中狭いもので清水さんとは初対面でしたが、私とは大学の同級(彼が電気工学、私が機械工学)で共通の友人がたくさんいることがわかりました。ある友人の結婚披露宴に同席していたこともあったようです。さらに、本村さんとは学年が同じ(大学は千葉大)ため、何人か共通の友人や知人がいることがわかりました。いやー、びっくりしました。また、日本からこのためにRITに来たのは私一人でした。

左がセンターの所長(名前はわすれました。)、右が太田教授です。太田氏は、富士フィルムを早期に退職し、RITの教授に就任し、先月こちらに来たそうです。千葉大の教授もかねており、スポンサーとなる企業を探しているそうです。近々、私の所に連絡するといっていました。私は知りませんが、有名な方なのでしょうか?


10/22(木)午前

セッションが始まりました。聴衆は、全部で50ぐらい。内容的には、高画質のイメージキャプチャの取り組み、バーチャルリアリティー、湖沼の状態のリモートセンシング、大気の状態のリモートセンシング4件でした。どれも個性的であり興味深く聞かせてもらいました。


10/22(木):昼食

昼食を取ったときにRITの開発アシスタントをされているインガルス・恭子さんに会いました。

(右がインガルス・恭子さん、左は前述の富士フィルムの原氏)

彼女は、RITの事務所にいてRITにくる日本人の世話をすることが仕事の一つとなっているそうです。すでにこちらで暮らして11年になり、ご主人はコダックの社員だそうです。


10/22(木):午後、Carlsonプロセス60周年記念講演

考えてみれば、歴史的にも非常に意味のある瞬間に立ち会っているわけで、世界中に複写機、プリンターに関わっている何十万人もの暮らしも、60年前のCarlsonの発明から世界中に広がったビジネスのおかげにより成り立っているともいえると思います。

大半の人が気がつかない中で、世界中から集まった数十人のひとだけが、この偉業をたたえているわけです。それは大変感動的な出来事であり、この場にいられたことに大変感謝する気持ちでいっぱいになりました。

とまあ、少し大げさでしたが、午後の講演は、Carlsonの人となり、伝記な話、Xerography発明の背景、さらにXerox社の設計方針、Short Run方式の現状などについの講演が行われました。

(Ms.Catharine Carlson)

その後、Carlsonの娘、Ms. Catharine Carlsonの講演と記念品の贈呈が行われました。そのあとは場所を移してChester F. Carlson Learning Centerの開所式が行われました。Chester F. Carlson Learning Centerといってもただの展示室のような物です。

(右から私、xerography特許の写し、Xerography試作機のレプリカ。)


Chester F. Carlson Learning Centerの開所式の後には、Kodak社の副社長、Dr.James Stoffel氏が語るChester F. Carlsonの思い出の話でみんなしんみりとなってしまいました。

Thank you, Chester Carlson !

 まさに感動の1日でした。


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