October 13, 2005

アナログ・デジタル変換論

Appleが新しいiPodを発表した。

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Videoが見れるiPod。これだけのコンセプトでは別にたいしたことはではない。他社にだって同じようなものを出している。

iPodが優れているのはiTuneMusicStoreで音楽、これからは動画も買える(ダウンロードできる)事だと思う。

これからは映画もダウンロードして見る時代?ふーん??でも実際にはまだ映画会社からの映画ファイルの供給なないようだ。かろうじてSteve Jobsが経営するPIXERのアニメーションぐらいのようである。

でも、これはいい!!と思ったサービスもあった。なんとABC放送のドラマが放送の翌日に$1.99でiTMSからダウンロードできる。これは便利だと思う。録画予約をすることなく、見逃したドラマが見れる。まさにデジタル社会ならではサービスだ。

さて、個人的には大のAppleファンである。(最近は少し軟弱ではあるが、依然として家のメインのマシンはAppleである。)自分なりにAppleの魅力について考えてみると、”アナログとデジタルの変換が上手な会社”という評価ができると思う。

AppleのマシンはMacintoshから使っているが(AppleIIとかの時代は知らない)とにかく、Macは人間とコンピュータのインターフェースが良い。今から15年ぐらい前、MS-DOS全盛の時代、自分もPC-98を使いまくっていた。いわゆるconfig.sysをいかに極めるかが、PCにどれだけ精通しているかと言う時代があった。

そんなときにたまたま触ったMac(多分SEとかPlus)が単にsystemフォルダーにアイコン(ファイル)をドロップすればどんな周辺機器でも接続できてしまったことには大きな衝撃を受けた。

MS-DOSもMacOSももちろんどちらもパソコンのOSだからデジタルに技術なのだが、人間が仕事や趣味にパソコンを使う作業はファイルを作る、変更する、削除する、周辺機器をつなぐ、プリントアウトをすることなどは、広義のアナログ作業である。それをパソコンを用いてデジタル処理する作業に関して、MS-DOSとMacOSのどちらが人間にとって直感的でやりやすかったかは言うまでもなくMacOSの勝ちだった。

Appleが、MacやiPodで示してくれたのは、そんなアナログ・デジタルの変換に関する勘所だったと思う。

さて、現在、そんな、Appleのおかげで業績が悪化している日本の大企業がある。

いわずとしれたソニーである。

個人的にソニーを評価すると、、”アナログとデジタルの変換が下手な会社”と言うことになる。

ここでいうデジタルとは、デジタルの技術と言うことではない。デジタルのビジネスと言うことだ。つまり、”アナログのビジネスをデジタルのビジネスに変換するのが下手”と言うことである。

では、最近ソニーが失敗したアナログからデジタルへの変化とは?

1)液晶、プラズマディスプレイの開発を中止して、ブラウン管と有機ELディスプレイをメインにおいた。
2)デジタルミュージックプレーヤーでMP3対応をしなかった。インターネットのミュージックストアの立ち上げが遅れた。

などである。

1)と2)どちらにも共通することは、過去のアナログ技術での成功体験が足かせとなりデジタル変換のポイントをはずしてしまったことではないかと考える。

つまり、1)で言えば、トリニトロンモニターという、他社を圧倒する画質有利な技術ももっていたため、液晶やプラズマといった、ブラウン管よりも低画質なディスプレーを開発することはソニーのプライドが許さなかった。結果としてブラウン管へのこだわりと高画質がウリの有機ELに資源を集中して現在の大画面、デジタルというディスプレーのトレンドにのることができなかった。アナログ技術をデジタル技術で置き換えるとき、どの手段をとるかという選択。

2)について言えば、ウォークマン&CDで成功体験から音質の悪いMP3ファーマットを採用することなどソニーのプライドが許さなかった。その上、自社でレコード会社を持っているため、著作権の問題を心配してインターネットのミュージックストアを立ち上げることになにか積極的になれなかった。

確かに過去にソニーの華やかな時代があった。まさにそれは、アナログ・エレクトロニクスの時代だと思う。

すなわち、ソニーには他社にない、高音質、高画質、小型、完成度の高いデザイン、高品質な商品があった。

さて、時代はデジタルの時代となった。

デジタル時代とは、これまで音楽、画像などをデジタル情報として扱う時代です。ソニーはデジダル時代においても、高音質、高画質にこだわりつづけた。しかし、技術的に言えば現在のデジタル技術をもってしても過去のアナログ技術の品質を保てないことがほとんどである。 

たとえば、
 デジカメの画像&インクジェットプリンター vs フィルム&銀鉛写真
 CD vs 高温質なアナログ録音
 DVD vs 劇場クラスの映画
などです。

いかにデジタル技術を駆使しても、有限なデジタルビット数で表現できないアナログの領域がある。それが現実。

であれば、そこにこだわり突き詰めようとしたのがソニーと割り切ったApple、勝負はAppleにあったと思う。

今のデジタル時代では、デジタル化により、コンテンツの価値が急速に低下しているようですが、デジタル化され、配信されることにより多くの人が簡単に手にすることが可能となった。結果的にはかえって価値が高まっているかもしれないと思う。

つまり、アナログデータをどこまで忠実にデジタル化するかはその後の使われ方、受けてが要望している品質レベルで最適化しないといけないのだと思う。

デジタル音楽プレーヤーの音質は、MP3で十分なのか?それとCDレベルが求められたいるのか?MP3とCDデータの配信、ダウンロードのしやすさはどちらがユーザに受け入れられるか?と言うところだと思う。

ちなみに、新型のVIDEO iPod(30GB)にはMPEG4の動画が150時間保存できます。

ソニーのビデオプレーヤー(20GB)にはMPEG1の動画が31時間保存できます。

ソニーのプレーヤーにはDVD同等のMPEG2のファイル再生もできます。しかし、ソニーには動画に関して、ミュージックストアのような仕組みはありません。

今後どのような変化が生じるかはわかりませんが、デジタル技術の付き合い方難しいですね。


Posted by itoq at October 13, 2005 06:51 PM | TrackBack